【感想】姫野桂『私たちは生きづらさを抱えている 発達障害じゃない人に伝えたい当事者の本音』
- できること、できないことの差が激しい
- ポンコツじゃなくてデコボコ
発達障害の特徴を、このように表現されています。
この本は、著者姫野桂さんによる発達障害の当事者22人のインタビューと、姫野さん自身も後に発達障害が判明したことが書かれています。
僕のフォロー/フォロワーにも発達障害の人がいて、リアルを知ろうと思い、この本を手に取りました。
精神疾患のことは、当事者の声を聞くのが一番よく分かります。自分がうつ病になって感じたことです。
本屋や図書館に行けば、メンタルヘルスの本がたくさん並んでいます。Google検索でもズラズラ出てきます。
しかし、「発達障害はこういう病気で、こういう症状があります」という教科書的な内容は、イマイチピンときません。
資格試験の勉強では、人によりますが、参考書を読むより先に過去問を見るほうが記憶に残りやすいです。それと同様に(していいのか分かりませんが)、実例を見たほうが理解が進みます。
僕は発達障害のリアルを知るのにとてもいい本だと感じました。
そもそも発達障害とは?
https://contents.gunosy.com/10/8/c91c1de2fac29053c7dd8914045e1d57_content.jpg
ASDとは、いわゆるアスペルガーのこと。現在はこのような呼び方がされています。はじめて知りました。ADHDは聞いたことがあったのですが…
発達障害は、
の3つが混ざりあったものだそうです。人によってグラデーションの度合いが変わるのだとか。
そして、二次障害としてうつ病や依存症が発症するケースがあるとのこと。
これもはじめて知りました。発見続きです。が、裏を返せばそれだけ知られていない病気でもあります。
インタビューの中で、僕が気になった箇所をピックアップします。
個性として片付けるだけでは不十分
Fukaseや栗原類など、著名人が発達障害を公表して、それが個性となって成功している人もいます。しかし、そういう人はごくわずかだそう。
発達障害を抱えながらも、才能を開花させて有名になった人は美談として語られがちである。一方で、孤独や苦しみにあえぐ当事者もいることを忘れてはならない。(P49)*1
Twitterのフォロワーさんには発達障害の人もいます。社会で適応できない悩みや辛さをよくツイートしていて、生きづらい現実を痛感します。
吃音症も発達障害のひとつ
吃音は発達障害のひとつと国が位置づけていて、精神障害者保健福祉手帳を取得できる障害です。当事者の苦しみを知っているからこそ、吃音を笑うという行為がどうしても許せませんでした。(P194)
これは初耳でした。僕は障害者手帳も吃音も持っているのですが…
僕も何度か吃音を馬鹿にされたことがあります。今でも思い出すだけでそいつをバットで殴りたくなります(過去に所属していた草野球チームでのことでした)。
僕は電話や自己紹介に苦手意識があります。苗字が言いづらいのです。喉が詰まって一瞬息が止まるような感覚になります。「落ち着いてしゃべりや~」で治るものではないのです。
僕はパニック発作はなったことがないので分からないですが、特定の場面で起こるので、これも一種の発作では?と思っています。
フリーランスで生活していくには血のにじむような努力と時間が必要
「会社員として働けないから、フリーライターやブロガーで食べていきたい」と語る人がいた。しかし、フリーライターで生計を立てている筆者だからこそ、フリーの厳しさを知っており、夢を語る当事者への返答に困ることがある。(P184,186)
僕もうつ病で退職して、今後はブロガーで食べていこうかと考えたことがあります。夢を語るのはいいことですが、現実も見なければなりません。
このブログをしばらくやって分かりましたが、ブログは1円を稼ぐのも大変な商売です。アルバイトの時給800円がどれほどの大金なのかが身に染みました。少なくとも、「雇われたくないからブロガーになる」という考えはおすすめしません。*2
おしゃれを批判する当事者
当事者のなかには、マナミさん*3が代官山などのオシャレな美容室に通うことを批判する人もいたという。しかし、「引きこもりに限らず、自尊心の低さ故、自分なんかがオシャレを楽しんではいけないと思い込んでらっしゃる方がとても多いのが現状です。そんな皆様に外見を変えることで内面も劇的に変化することを伝え続けたい」と乃浬子さん*4。(P193)
「オシャレを楽しんではいけない」どころか「オシャレしてはいけない」と考える人もいるようです。要因としては、自尊心の低さに加えて「障害者らしい服装をしろ」と批判する人間が一部に存在することも考えられます。
「え、こんなこと言う人ホントにいるの?」と思うかもしれないがホントにいる。
— まるるんず語録 (@marurunzmemo) 2018年9月10日
・障害者が髪染めるなよ
・障害者って分かるようにしてもらわないと紛らわしい
・もう少しおとなしそうな服装にしないと
とか言うんだよ。意味わからんし、そいつの為に生きてるんじゃないから「知るかボケ」だけど。
この現状から、僕は過去にアンケートをもとに「病人らしい服装」を考案しました。(結論としては、万人受けする病人コーデは存在しない)
どんなに地味で大人しい格好をしても、ケチをつける人は出てきます。それなら「おしゃれになって堂々と振る舞おうぜ」というのが僕の考えです。
「外面を変えることで内面も劇的に変化することを伝え続けたい」とありますが、ほんとそれなのです。実感したからです。(なかなか信じてもらえないけど…)
当ブログの「うつファッション」のコンセプトがこれです。僕もブログを通しておしゃれの効能を発信し続けます。
理解はできなくても、「歩み寄ること」が大事
精神疾患のことは、理解することはできません。うつ病当事者である僕でも、他人の病気を完全に理解することはできません。
「理解をしている気になってしまうことが一番よくない」(P235)。ひとくくりに発達障害やうつ病といっても、症状は千差万別。分からなくても、知ろうとする、歩み寄るという姿勢を忘れずに生きていこうと感じました。
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
余談ですが、ほっしーさんと東京でイベントをされるそうです。
【告知!】12/7、@HossyMentalHackさんとイベントします!
— 姫野桂『私たちは生きづらさを抱えている』発売中 (@himeno_kei) 2018年10月26日
ほっしー×姫野桂「うつ・発達障害の『生きづらさ』を『生きやすさ』に変える小さな工夫について話そう」『うつを治す努力をしてきたので、効果と難易度でマッピングしてみた』(ディスカヴァー)刊行記念 | 本屋 B&B https://t.co/Xd7CdKAPwZ
ちなみに姫野さんのことを知ったのは、ほっしーさんのツイートからでした。
大阪なら行きたかった・・・